コネクトする?オフグリッドする?

SNSをブラウズしていたら「隅田川」という見出しに目がいった。東京事務所は隅田川の近くだし、「すみだリバーウォーク」というsaiブランドを代表するような作品に参画することができた思いいれのある地名だ。
見出しの「隅田川会議」-CONNECT-。
解説に”東京のシンボルである隅田川の利活用を市民レベルで考え、未来へ向けたつながりを築くための会議です。”とあるが、何か違和感を感じた。

自己分析をすると「隅田川」という思いいれのある地名に「CONNECT」という最近キライな単語が接続されていることに違和感を感じたようだ。
「CONNECT」 =「つながり」
最近この「つながり」という単語が重要な局面に、しかし軽く使われているような気がしてならない。隣に誰が住んでいるかも分からない都会での生活では、防災、防犯上、希薄であっても最低限のつながりを持っておく必要があった。それは仕事上でも同様で、いわゆる「おつきあい」は最低限のつながりを維持するための安易な手段だった。それがいつしか希薄なつながりであれば不要と感じるようになり、移住前に人脈の断捨離を断行した。これが功を奏し、東京から遠い移住先まで訪ねてくるのは生涯つき合えるであろう気ごころの知れた友人ばかりだ。

思えば 「CONNECT」は 僕らの目指す「OFF GRID」の対義語なのかもしれない。希薄なつながりからオフグリッドした今は、充実した時間に満ちあふれている。なぜ人は「つながり」を求め集まり、そして密集するのだろう。それを叶えるために電気や水道、ガスなどのインフラは都市に網目(グリッド)のように張りめぐらされ、そこに安定的にエネルギーを供給するために原発や火力により発電された電力や、かの国から輸入されたガスが流される。そして「安全・安心」を御旗に道路はアスファルト舗装され、せっかく育った樹木を切り倒した挙句、「経験したことのない猛暑なので、命を守るためにエアコンを使ってください」ともっともらしく人々を扇動する。

勇気をもって都市からオフグリッドすると、都市生活では味わえなかった自然の力を感じるとともに、自然界のバランスを取ろうとする力に唖然とすることもある。自然界のバランスを崩す要因が人々の希薄で安易なつながりを求める心だとすれば、そろそろ自然だけでなく社会にも多くの影を落とすことにもなろう。昨今の日本の政治家たちの所業や都議選、都知事選など、あきらかにおかしな事象として表れはじめているように感じる。

東日本大震災や能登半島地震など、あのような大きな天災の中で人々が互いを想い、つながることは人として大切なことだと思う。
しかし、この100年の人類の所業は現在の地球温暖化につながっており、それは人類そのものの存在を危うくするレベルにまで達している。そろそろ「つながり」について再考し、希薄なつながりからオフグリッドし、地球環境や未来にコネクトするアクションに移行すべきだろう。

※本記事は冒頭の隅田川会議-CONNECT-について評論をしているものではありません。
むしろ未来に向け、しっかりとしたつながりを築いていただきたいと思います。

投稿者: YUKI

株式会社saiブランド代表取締役。 30年前、オーストラリアで木橋に出会い、自然素材の可能性に魅せられる。 木橋やボードウォークの設計や、木製構造物の診断などを手掛けている。 2020年8月に本社を東京都墨田区から沖縄県糸満市名城に移転し、「オフグリッド」に事業として、ライフスタイルとして取り組んでいる。