太陽の力で地下水を汲みあげる

~ソラポンプ完成~

梅雨の合間の曇天の今日。オフグリッド設備のひとつとなる「ソラポンプ」が完成しました。かねてからこの古井戸の再生を計画し、昨年末に井戸を浚い(さらい)、電動ポンプを取り付け揚水のテストは終わっていました。今回は基礎杭を打設し、ソーラータワーを設置、ポンプを結線、完成しました。ソーラータワーは株式会社風憩セコロさんにご提供いただきました。

元々の構想は、オフグリッドサイトの「上水のオフグリッド」に記載している通りですが、今回は汲み上げた地下水をそのままシャワーで使えるように配管をしました。弊社の基礎杭と風憩セコロさんのソーラータワーをベースに、川本ポンプさんのソフトカワエース NF3-250S /100Vを動かし、ZEZHEさんのシャワーシステムを導入しました。

ソーラータワーはオフグリッドの象徴として井戸のすぐ脇に、ポンプは木柵の後ろに隠し、シャワーシステムは木柵の前面に取り付け、一目で井戸水を太陽光で汲み上げ、シャワーとして使えるという分かりやすいレイアウトとしました。ビーチから歩いて帰り、ここで地下水の冷たい水でシャワーを浴び、オリオンビールを楽しむ。という娯楽も太陽からの恩恵です。


以下は、ソラポンプの設置画像ですので、興味のある方はご覧ください。

ソーラータワーは風憩セコロさんのソライトFSL-MF3V-ACという製品を改造してオリジナルで作っていただきました。最大出力90Wのソーラーモジュールを頂部に搭載し、ポール(A6005CS-T5)、 バッテリーボックスは(A6063S-T5)と海沿いの設置環境を考えたアルミニウムの構造体です。
タワーを支える基礎は、自社製品の螺杭(D-16:φ76×1600)と専用アタッチメントを採用しました。

アタッチメントは杭とソーラータワーを連結する重要なパーツです。ソーラータワーにかかる風圧力を基礎杭に逃がす構造と、施工時に設置位置の微調整ができる機能を両立させなければなりません。今回は風憩セコロさんの□120mm×120mmの支柱をアタッチメントに被せるスリーブ式のベースアタッチメントを設計しました。下図の通り、丸パイプのスリーブと製品支柱とのクリアランスは片側0.7mmとかなりギリギリな納まりとしましたが、現場では拍子抜けするほどスムーズに挿入できました。

揚水ポンプは 川本ポンプさんのソフトカワエース NF3-250S /100V なので、インバーターは余裕を持って350Wを出力する電菱さんのSK350-112をビルトインしています。
バッテリーはさすが風憩セコロさんで、40Ahのリチウムイオン電池1台と38Ahの鉛電池2台のハイブリッド式で、出力に応じてバッテリーを切り替えてくれる仕組みのようです。
配線はとても分かりやすく、各配線の端部につけられたタグに従い結線していくだけなので、初めて同社の製品を扱う方にも安心をいただけると思います。
今回は他社の揚水ポンプをインバーターで動かしたいという弊社の希望を実現してくれたわけですが、安全対策としてソーラーパネル、バッテリーの各回路にブレーカーを装着してくれていましたので、安心して作業をすることができました。
もともとソーラー照明灯用のコントローラーを使用してくれているので、これに照明器具を追加することも可能です。いましばらくは「漆黒の闇」を楽しみたいので、このままにしておきますが。













このソラポンプの設置を通じて、ランドスケープ事業とオフグリッド事業は極めて近い立ち位置で存在しているものだと感じています。オフグリッドの世界では、この場所のように、動力源のない土地に施設を設置したいという需要はたくさんあると思うのです。今回は揚水ポンプを動かすという目的でしたが、照明灯はもとより、Wifi中継基地、監視カメラなどなど、電気機器の省電力化により、アイディア次第でたくさんの用途がうまれることでしょう。その新たな用途を支えるのが、屋外で高い耐久性が求められるランドスケープ事業のモノづくりです。暴風暴雨に耐え、内部の精密機器を水密構造で守る。これは機能としてあたりまえですが、さらに周囲の景観に溶け込むデザインとして設える(しつらえる)。ランドスケープとオフグリッドは、こんなに近い立ち位置なのです。
ソラポンプで汲み上げた水を今後、何に使っていくのか。乞うご期待願います。