vol. 3「地産地消って聞くよね」

コッツウォルズ村には蜂蜜色の石を積んだ家並みが続く

 放牧が盛んなアメリカ内陸部は肉文化が中心で、日本には馴染みの無いところでは去勢した牛の睾丸を食す。BBQで焼いてイチジクのような半生の中身の「カウボーイ・キャビア」だったり、コロラド州にある地元ビールCoors(クアーズ)がスポンサーの球場では唐揚げの「ロッキー・マウンテン・オイスター」が有名だ。部位を想像しなければ、それなりの美味で、文字通りキャビアやオイスターの食感が楽しめる。日本にだって、内臓肉を焼く「ホルモン焼き」や鍋で炊く「モツ鍋」が好きな人も多い。いずれも、放るもん(関西弁で「捨てる」の意味)を食べるわけだから、余すことなく食材を食べ尽くす。

 イギリスにコッツウォルズという村がある。そこで産出される蜂蜜色の石を積んだ家並みは否応なしに調和し、現代社会では使い勝手の悪そうな造りでも人々は住み続けている。郊外の丘陵地には石垣に囲まれた農地が続くが、耕す過程でその土地から出てくる石礫を積み上げたものらしい。遠くに見える白い斑点は羊の群れが草を喰んでいる。エリアは特別自然美観地域に指定され、その素晴らしい景観に魅せられる人も多い。

 いずれも共通するのは地産地消の考えだ。そこで暮らすということは、そういうことなのかも知れない。グローバル化が進み、物流が発達した現代社会にあって、ポチれば何でも届く。遠くの土地で作られた電気がコンセントから供給され、蛇口を捻れば飲料水が出てくる。そんな便利な暮らしに、何かひとつでも地元のものを取り入れてみてはどうだろう。近所に農家が居なければ家庭菜園をやってみるのも手だ。それが無理ならプランターで育てるのもいいだろう。せめて携帯用のバッテリーの充電くらいソーラーパネルで出来ないものか。近所に湧水があれば、汲んで沸かして冷まして飲んでみるのもどうだろう。オフグリッドなんて私無理!と拒絶する前に、その地で得られる太陽や大地の恵みを受けてみるのはどうだろう。まずはハードルをグンと低くして出来そうなことからやってみてはどうだろう。

投稿者: Taka

これまで百数十か国を訪れ、欧米7か国で20年暮らしてきた。メーカーに30数年勤め、縁あって今はハワイ在住。グローバルな生活から一転、ロコとして生きる。座右の銘は、Life is a journey, not a destination. (人生は旅、その過程を楽しもうじゃないか)