Quality Control

On 28. 03. 2017 by sai1525

た くさんの会社が、それぞれに品質管理基準を定め、モノづくりに取り組んでおられます。ISO9000を取得し、定めた基準を遵守するマニュアルを整備している企業も多いでしょう。
しかし、「品質管理」というと何やら固い響きがしますね。私はなぜか画一的なモノづくりを連想してしまいます。
もちろん、みなさんのお口に入るような食品や薬品など、健康に直結する製品の製造には固い固い品質管理が必要で、それが購買して下さる顧客の安心感につながる大きな武器となります。
この品質管理を行う上で、最も難しいのが外注先の品質ではないでしょうか。
弊社はボードウォークや木橋、デッキ、柵などを製作するメーカーであると共に、それらを構成する部材メーカーでもあります。
例えばボードウォークを例に取れば、デッキ材、根太材、大引材、ビス、支持脚など、全てのパーツ(部材)をオリジナルで製作しています。
これらの工業製品は、規格や精度、性能に対して品質基準を設けることにより、機械的に管理することが可能です。


しかし、これらを部材として、正しい設計、正しい施工を行うことが非常に難しいのです。すなわち人の手が介在する割合が大きくなればなるほど、その品質は大きく左右されるのです。
いくら品質の高い製品を製造しても、その性能が発揮できない設計や施工をされてしまうと、品質管理など全く無意味なものとなってしまいます。
他方、経験を積んだ匠の力量により、設計時に創造した以上の作品に出逢えることもあります。これが人の介在する難しさであり、面白さでもあります。
私達の業界は、設置する現場によって全くカタチが変わり、それも営業や設計の段階では、誰が施工するか分からない製品を提供しています。
公共事業は国や自治体の予算、すなわち税金が財源となるため、公平性が重んじられ、工事店の指定をすることなどができないためです。
すると誰が関わっても一定の品質以上が担保できるような製品の開発が必要となります。
設計時にこんな勘違いをされたら、現場でこんな納まりにされてしまったらなどなど、これまでの経験から想定される様々なマイナス要因をどう製品でカバーするのか。
そんなことを視野に入れ、製品の規格、品質を考えています。
それにより他社よりも多少単価が高くなることもありますが、誰が関わっても計画された期待寿命を全うする製品を提供するのかが、公共事業に携わる弊社の品質基準となります。
施工を考えず、質より量販の規格が優先されている製品、単価を優先するために安価で輸入された製品、資本主義経済ですからこれらを制限することはできません。
しかし、これらの製品と同等品として取り扱われるのには虚しさを感じてしまいます。


「誰のために何をするのか」
ライバル製品の価格よりも安価に仕入れられるからこの程度の品質で良いと、低いレベルでQuality Controlが行われている製品が多いような気がしています。
予期せず不具合を発生させたら、とことんそれに向き合う。
その原因が人為的なものなのか、素材に所以するものなのか。
その原因を追究し、原因が製品にあれば、素材そのものや製品の形状として解(かい)を導き出す。それが弊社の大切にしている「改善と進化」です。
結果、他社よりも高い価格となってしまう製品もあるのですが、このような製品ほどライフサイクルコストで比較して頂きたいと思います。

この度、2017年4月1日より、弊社の主力製品であるリバースウッドAWの価格を改定させていただきます。
再生木材の弱点である吸水による影響を完全に排除するため、敢えて流動性、成型性の極めて悪いフライアッシュ(石炭灰)を主原料とし、「再生無機高充填人工木材」として5年前に世に送り出しました。
一般的な再生木材と比較し、耐候性、耐水性、強度などの基本性能は別次元の域に達する製品を開発することができ、これまでに海際や砂浜など、極めて厳しい環境に納めさせていただきましたが、何一つ不具合を発生させておりません。
今回、製造を委託している積水化学工業と協議を重ね、原材料費、人件費の高騰もあり、従来の価格で提供し続けるのは困難と判断し、13%の値上げをさせていただくこととなりました。
ただし、リバースウッドAWは、ボードウォークやデッキ、人道橋の床板(デッキ材)という構造物のひとつのパーツに過ぎません。幸い構造部材の金型の償却が完了するなど、コストダウンの要素も重なり、システムとしては現行価格を維持することができました。
他の再生木材や合成木材では計画できない条件の場所でもAWだからできる。
「他の製品では叶わない領域で、高付加価値を提供する製品とする」
他の製品と同等品と扱われ嘆くのではなく、自ら違う領域へ進む。
こんな明確なQuality Controlがあっても良いのではないかと思います。

(※写真に写っている皆様から掲載許可をいただいております)

2017年3月吉日
株式会社saiブランド
代表取締役 結城拓士

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