鹿児島港 北埠頭展望デッキ改修工事

On 22. 03. 2009 by sai1525
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鹿児島港の片隅に老朽化した展望台がありました。 フェリー埠頭のそばで、港内に整備された広大なボードウォークの終点にあたる施設なので、地元の方や観光でフェリーに乗られたことのある方は目にしたことがあるのではないでしょうか。
地元、鹿児島県は奄美大島の「イタジイ」という木材の集成材がつくられた木製の展望台でしたが、残念なことながら湿気とこれを好むシロアリにやられ、床板等が腐食し、立入禁止となっていた施設です。
今回の工事は、この「イタジイ」を原料として再生木材としてリバース(再生)し、施設の資材として再利用するものです。
2年前に1階部分の床を同じリバースデッキ工法でリバースしたのですが、写真のように2階の床が張り出しているため、内部に自然光が届かず、暗いイメージがありました。
そこで地元鹿児島の新日本技術コンサルタントさんと施設計画を行い、今回の改修工事と相成りました。

当初、当方からは、2階部分の梁を残し、パーゴラ風にデザインし、1階部分に明るい光が届く施設にしましょうという提案を行っていましたが、同じく地元の木製施設の専門会社であるアリモト工業さんの劣化診断により、梁も支柱も腐朽が進行し、構造部材としての利用は困難という結果が出され、構造体をすべて改修する計画となりました。

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左の写真が完成写真ですが、1階の床まで太陽光が届き、明、誰もが登ってみたい展望台に生まれ変わりました。
今回の工事では、弊社はリバースウッドのメーカーとして設計のサポートと材料の製造(リバースデッキ工法)を行っただけなのですが、改修工事とは難しいもので、施設を壊すまで下部構造が不明であったり、想定したものと異なっていたり・・・。

これを現地で技術調整をしてくれたのがアリモト工業さんでした。
同社は弊社と同じように、日本で数少ない木材劣化診断士の有資格者を持つ会社で、現場の状況を的確にお伝えいただき、また創意工夫をされ、見事な作品に仕上げてくれました。

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下地には、海際で、さらに湿度も高い設置環境であることから、「マリンランバー」を使用しましたが、異型の灯台まわりは、このように面倒な下地をきっちりと組んでくれました。
マリンランバーは、ガラス繊維を発砲プラスチックで固めた不朽の素材です。
しかし、現場加工はガラス繊維が相手なので、革手袋、マスクをしても少なからず皮膚に付着します。
すると職人さんは家に帰り、お風呂に入るまで「痒い」のです。
こんな作業を地道に、きっちりこなしていただいたわけです。
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上の2枚は展望台上部からの景色です。
ご覧のように、展望台に上がると再び階段があり、ダブルデッキとなっています。
きっとこの階段に座り、鹿児島港を眺める人々で賑わうことでしょう。
ここにあった展望台の木材を燃やすことなく、資源としてリサイクルされ、再びこの現地に戻すことができました。
そんなことは利用者の方々は知る由もないでしょう。
気づかないうちにこのようなリサイクルが行われる。
そんなことが当たり前の世の中になりますように・・・

最後になりましたが、本工事に関わったすべての方々にお礼を申し上げます。

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