望月螺旋さま訪問記
saiブランドのデッキの外観上の特徴はなんと言っても六角孔のビスです。標準仕様、沿岸仕様、高床仕様、木道仕様など、多様な地形に対応するデッキシステムを提供していますが、そこに使われているビスの外観を統一しています。しかし、仕様によって、ビスの材質、形状、長さが異なるのです。大別するとSUS410とSUS-XM7という材質の違いで、金属根太にはSUS410製のものを、マリンランバーや天然木材の根太にはSUS-XM7を使用しています。SUS410はDRシリーズ、XM7はTGシリーズとなります。DRは鋼材に打ち込むため、焼き入れのできる410を素材とし、先端形状は鋼材に下孔をあけるドリル状で、薄肉でも引抜強度が出るように螺旋ピッチが狭い形状です。、TGはやわらかいマリンランバーや天然木が相手となるため、羽もピッチも広い木ビス形状です。

デッキを設置したあとは、このビスの違いはよっぽどのプロでなければ見抜けないと思います。山に設置された階段デッキと、海辺に設置されたボードウォークも外観上は同じですが、そこに使用されているビスの材質、見えない部分の形状はまったく異なるのです。

今回はTGシリーズを製造委託している望月螺旋株式会社さんを訪問させていただきました。普段、会社に納品され、図面通りの仕様でビスを打っている社員たちにも、その特性の違いや、どれだけ気を使って製造されているかという現場を見学することで、自社製品への思いを強くしてほしいとの願いからです。ご対応いただいた望月螺旋さんは、お茶やミカンという地元静岡の特産物を輸送するための木箱に使われる釘、ビスの製造をはじめたという歴史あるメーカーさんで、今では精密ネジから、弊社のような大型のビスまで、幅広い形状、用途のビスを製造されています。座学では、ステンレスの材質の違いや製造工程の説明を受け、工場ではISOに基づいた現場管理、生産工程を見学させていただきました。きれいに整理整頓された工場内は、最近の酷暑対策として空調も完備されており、清潔感を、積極的に挨拶をしてくださる職員さんたちからは、明るさ、礼儀正しさを感じ取ることができ、ここで製造をされている自社製品を誇りに感じることができました。
弊社のような工場を持たない「ファブレスメーカー」は、このようにモノづくりをしてくださる方々とのコミュニケーションは必須で、新しい技術情報や、現場で気づく改善点の交換などがとても大切です。このようなコミュニケーションを経て、TGシリーズは2回、DRシリーズは4回のモデルチェンジを経て、現在の製品に至っています。今回は、関連会社であるサイアスへの事業継承の一環として、望月螺旋さんを訪問させていただきました。今後も更なるコミュニケーションを取り、製品の改良に努め、世にすばらしい製品を提供させていただきたいと思います。デッキを見かけたら、足元のビスにご注目をいただけると嬉しいです。そこに六角孔のビスがあれば、それは品質の高いsaiブランドのビスたちです。