コロナ禍での新しい取り組み②

On 09. 07. 2021 by sai1525

弊社では、老朽化したボードウォーク、木橋、デッキなどの木製施設の改修設計に力を入れています。
木材はその組成の50%以上が炭素で構成されていることをご存じでしょうか。
杉やヒノキなどの一般的な針葉樹でも炭素比は50%以上、イペなどの広葉樹では70%程度が炭素だと言われています。
我々が取り組んでいる木製施設の改修は「輸入材こそ使い切る」をテーマとしていますので、改修提案の際に既設材の再利用をご提案することが多いです。
今回はその一例として、改修の際に発生したデッキ材が全く別の用途として生まれ変わった事例をご紹介したいと思います。

横須賀市海辺つり公園でデッキ材として長年使われてきたイペ材が、美しく表面を加工され、 東京都港区の表参道に新たにオープンしたCBC coffee&beef carnivale(シービーシー コーヒーアンドビーフ カーニバル)さんの内装材として生まれ変わりました。

下の写真は一昨年の台風15号で被災した横須賀市海辺つり公園の現場です。
護岸上まで波が押し寄せ、ボードウォーク全体を破壊したのです。
個人的な話ですが、横須賀は私の地元であり、それまでも観音崎やヴェルニー公園のボードウォークの改修もさせていただいていたこともあり、被災後、すぐに市役所のご担当者様から改修方法について相談をいただきました。
結果、予算の関係もあり、全体の1/3をボードウォークとして復旧させ、2/3をスタンプクリート(柄付きコンクリート)で改修することになりました。
昨年7月には無事工事も完了し、現在はつり公園として再び賑わいを取り戻しています。
横須賀市海辺つり公園ウェブサイト

令和元年台風15号による被災状況

全体の1/3をボードウォークとして復旧させたということは、2/3のデッキ材はどこに??ということになりますね。
通常ですと、このような工事で発生した既設材は産廃物として扱われ、サーマルリサイクルという名の下に焼却されてしまいます。
そこで冒頭の 「輸入材こそ使い切る」 を実践しました。
弊社では、この既設材を劣化診断し、今後「使える」「使えない」を判断し、「使える」ものは資源として買い取り、再販する事業を行っているのです。

この横須賀市海辺つり公園のデッキ材が、このように美しく再加工され、これ以上ない存在感で再利用されているのです。
このデッキ材はブラジルアマゾン産の「イペ」で、比重が1.0以上あるとても重厚な材料です。
30年以上、海辺で天日にさらされた結果、含水率は3~5%程度で安定していました。
つまり、木材なのにほとんど動かない(伸縮しない)という性能を手に入れた理想的な建材になっているのです。
イペは木目が細かく、表情も重厚で存在感のある材料です。
これをこのように使おう!と選んで下さったデザイナーさんのおかげで、このデッキ材は第二の人生を歩みはじめることができました。

このスツールも面白いデザインです。
一段ずつ木口を直交させ、古いレンガ積みのようなデザイン。
この木口に注目いただきたいのですが、木材の表面は多少傷んでいても、内面は全く傷んでいません。
きっと、切断しても木口がきれいだったので、このようなデザインをしてくれたのでしょう。

弊社ではこのように改修してきた木材を「リバースウッドCN」として再販をしています。
CNは「カーボンニュートラル」を意味します。
今回、ボードウォークに復旧しなかった面積は、約780㎡。
ここに含まれる炭素量=780㎡(面積)×0.038m(デッキ厚)×1.05(比重)×70%(炭素比)=21.79t
この21.79t分の炭素を燃やさなかったということになります。
木材は二酸化炭素を吸収し、体内に炭素として固定させています。
このイペの場合は、ブラジルの二酸化炭素を吸収し、固定化させているということになります。
低炭素社会の実現に向け、 「輸入材こそ使い切る」はsaiブランドにとって後世へ木材を資源として引き継ぐ大切なテーマとなっています。
コロナ禍において、私たちにとってこのような事例をご紹介できるのは嬉しい限りです。
ぜひ、表参道のCBCさん、横須賀市海辺つり公園に足を運んでみてくださいね。

※ご注意
改修現場から発生した木材は勝手に再利用できるわけではありません。
この現場の木材は 、建設リサイクル法、産廃処理法を順守し、 「スクラップ控除」を適用していただいております。
スクラップ控除等、リバースウッドCNのお問合せは、saiブランド本部まで。

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