木材劣化診断士講習へ参加して

On 06. 09. 2008 by sai1525

9/5(金)の午後、午前中にsai-BRAND研修会を終えた足で
今度は教わる側の講習会に参加しました。

「木材劣化診断士」講習会。
あまり聞きなれない資格でしょうが、
我々にとっては欠かせない資格です。

老朽化した木材構造物が、
「構造的」にどこまで痛んでいるるのかを診断し、
まだこのまま共用しつづけることができるのか、
メンテナンスが必要なのか、
はたまた即座に共用を中止すべきなのか。

いくつかの非破壊試験を行い、
上記のレベルを判断し、その対策を講ずる。
これが木材劣化診断士の仕事です。

sai-BRANDの代表的な技術のひとつに
リバースデッキ工法という独自の工法があります。

これは老朽化し、危険な状態にあるデッキを診断し
メンテナンスし、安全を保てるものであれば
具体的なメンテ方法を提言し、
そうでなければ、既設のデッキを九州工場へ運搬し
原料とし、再生木材を製造し、現場へ返す工法です。

いずれにしても、なぜ、高い投資を行ったデッキが老朽化したのか。
この原因を診断することから始まります。

この資格を取得する前は、
私個人の「主観」で判断し、レポートを書いていましたが
この資格を取得することにより、
診断方法、結果に客観要素を加えることができるようになりました。

今回の研修は、22年前に設置された木製遊具の診断を行い
まさに実戦を通じての研修を行いました。

木材劣化診断士講習へ参加して
■含水率計を用いて、構造材に使用されている木材がどのくらい水分を含んでいるのかを測定します。
ちなみに日本(本土)の場合、平衡含水率は14%程度です。

木材劣化診断士講習へ参加して
■触診や打診、含水率の測定により、あやしいと思われる部分に超音波を当てます。
音波が早く帰ってくる箇所は、木材組織が密で「問題なし」。
遅い箇所は疎で「内部が腐朽している可能性がある」と判断されます。

木材劣化診断士講習へ参加して
■さらに怪しい箇所には直径1.5mm程度の針を、電動ドリルで打ち込み、そのトルク変動を観測する方法で内部組織の劣化具合を診断します。

このように、木製構造物を破壊せずに、その「状態」を診断する非破壊試験を行い、
現状に提言するのが木材劣化診断士の業務です。

日本人は「木」が好きなのです。
皆さんの生活でも、周りを眺めて見てみると
たくさんの木材が使われていることに気付くでしょう。

「木」は自然素材ゆえに、不思議と「気持ちが落ち着く」効果があります。
木は建材となっても呼吸し、常に膨張・伸縮を繰り返します。
そんな「木の特性」を理解し、設計され、現場に納まっているものは
長い長い時間、そこに鎮座してくれます。
ところが、そうでない場合、
「あっ」という間に腐ってしまうこともあります。

水に強い木、棘(とげ)が出にくい木、摩擦に強い木、害虫を寄せ付けない木etc…
木にもたくさんの種類があり、それらの特性を理解し、
その個性が発揮できる部位に使用する。
これが経験から来る極意です。

「適材適所」
私の一番好きな言葉ですが、
これをしないと
せっけくの高価な材料も無に帰してしまいます。

これは「木」から生まれた言葉と想定されますが、
人も同じですね。
その個性が発揮できるよう配する。

しかし、なかなかそうはいきません。
人間も定期的に劣化診断をしなければ
期待される耐用年数を過ごせない今日この頃・・・

人もモノも永く良い状態を維持するには
定期的な診断が必要なのかもしれません・・・

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